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小ネタ、感想、語り等置き場。現在は化物語(腐気味)中心です。☆『終物語(下)』までネタバレ有りです☆
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「――と、この辺が由来ってことになるのかな。『しでの』は、『死』に『出』ると書いて『死出』。しでのたをさが、しでのとりで――ホトトギス」
「・・・」
「まあこの怪異については、対処法といえるような法も無いというか、元々対処のしようが無いし、単なる雑学みたいなものなんだけどねー。でも、忍ちゃんや阿良々木くんはほら、不死身の怪異には縁がありそうだからさ。縁と言うか血縁もどき、うーん、そうか、対処法も何も、あの暴力陰陽師に対して阿良々木くんが使えそうな対応なんて、そもそも無いんだよなあ。あれはあれで、話し合いの通じる相手では無い・・・いや、意外と感情論でどうにかなったりしてね」
「・・・」
「阿良々木くんの出しそうな結論から言っても、情に訴える他に策は無しって感じだなあ。・・・しっかし、あの子の、こうと決めた時の揺るがなさって、おっかないよねー。君もそれの被害者なわけだけど」
「・・・」
「どこから来るんだろう、あの自信。普段はふらふら頼りないくせにね。ちょっと突っつけばよろよろしてるくせに。阿良々木くんの行動原理の根本に、『博愛』って太字で焼印でも押してあるのかと思ってたけど、何のことは無い、結局は、自分の手の届く範囲で、誰かが傷ついたり喪われたりすることに耐えられないだけなんだぜ。酷いエゴイズムだよ、全く」
「・・・」
「そういう所は、欠点でもあり、また不思議な事に人を惹き付ける要因になったりもするんだけどね。僕なんかからすると、正直、凄く苛々するけど、それは取りも直さず意識から外せない位には意識してるってことになっちまう。捻くれずに解釈すれば、阿良々木くんは普通に物凄く優しい子って事になるし、捻くれて考えても、あの自分を省みなさすぎる危なっかしさを放っておけないって思うかもしれないし」
「・・・」
「でも、人に好かれるのはいいんだけど――阿良々木くんのあの性質は、ロクなもんを引き寄せない気がするんだよなあ。モテるにはモテるけど、厄介な人間にばっかり好かれそうというか、結局苦労ばかりしそうというか。まあ――その辺はね、その辺こそ、阿良々木くんの周りに居る人や君が、無理矢理お返しする意味でも、フォローしてあげてくれたらいいなって、思っているけどね――」

「・・・のう、小僧」

「おお、忍ちゃんが喋ってくれた。良かった良かった。やっぱり、話し掛けたら返事が返ってきて欲しいものだよ。コールに対してレスポンスが無ければ、コミュニケーションが成立しないもんね」
「今更いちいち驚かんでええわい。――うぬのその、日本全国妖怪大図鑑じゃが」
「怪異の知識、って言って欲しいなあ」
「儂には全く以って不要の、その豆知識じゃが」
「『豆』を取ってよ」
「自分で雑学と言うとったじゃろが。ええい鬱陶しい、口を挟むな。――その知識、つまりは今後、有事の際には、この儂がうぬの代わりに我が従・・・(チッ)元従僕に披露せい、という事なのじゃろうが――その際、うぬの、あれへの考察というか意見というか思慕というか片恋というか・・・とにかくその面倒な問わず語りの部分は、割愛してよいのじゃろうな?」

「え、別に僕、阿良々木くんについてなんて話してないじゃん」
「なんと、そう来たか・・・」

*** ** * *

「お前様に儂の気持ちが(中略)あの軽薄極まりない小僧が(中略)何の役にも立たん怪異話を(中略)のべつ幕なしに(中略)黙って聞いてなければならなかったときの、儂の気持ちが」

「・・・」

「全く、もどかしいこと、この上無かったわ」
「は? 何か言ったか、忍」
「独り言じゃよ」

あの小僧、結局尻尾を巻いて逃げおって。
誰がお人よしじゃ。誰が、エゴイストじゃ。

*** ** * *

「小僧、儂はこう見えて中々寛容であり、情に脆い所があっての」
「自分で言うんだー、さすが忍ちゃんは大物だね」
「ふっ、そう褒めるな。儂はの、けなげな者には甘いんじゃよ」
「・・・ふうん。そういえばそうだね、阿良々木くんとか」

忍ちゃんは、そこで初めて僕のほうを向いて、薄く微笑んだ。

「そのけなげさに免じてな――護ってやるわ、その時が来たらの」

あの愚かな子供を。
うぬの代わりに、な。

「・・・うん、よろしく」





“英才教育”のくだりを読むたびに、どんだけだよ、忍野・・・ッ! と、身悶えします。

忍と忍野には、こっそり色々会話していて欲しい。
忍野さんはまあ、勿論、無意識なわけじゃないんだけど、忍ちゃんだけは阿良々木くんに洩らすまいと踏んでしゃべくっていたりする、ズルイ所があったりして。

タイトルは、「君が為」様、『年下に恋する5つのお題』より。
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