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彼と彼の最後の、
らくがきめもです。
らくがきめもです。
思わず引き留めてみたけど、行かせない理由なんて思いつけない忍野さん。
ルートXの彼は、勿論信じて送り出しただろうけど、言葉に出来ない勘みたいなもので、これが最後だと感じ取っていたかもしれない。
「――分かってる。出来るだけ早く見つけないとまずいんだろ、忍が」
そう言って駆け出す背中を引き留める言葉を、僕はもう持っていなかった。
ああ――本当にきみは分かっていない。まずいのは、今本当に瀬戸際にあるのは、きみの、きみ自身の命だというのに。
そんな風に自分を勘定に入れられない、出来損ないみたいなこの子供は、果たして僕が想定したとおりに事を運べるだろうか。明日の朝にでも再び、ここに顔を出してくれるだろうか――勿論、その頃には僕は居ないけれど。
目を閉じて追っていた靴音が、やがて聞こえなくなる。
「早く帰って来るんだよ、阿良々木くん」
きみの帰りを待つ人たちの元へ、ちゃんと帰って来るんだよ。
――でもそうだな、どうしようもないきみなんか、誰もが愛想を尽かしてそっぽを向くかもしれないなあ。
そんな、望むべくもない未来なんてものを想像して、自分へと苦笑を零した。(そうなってしまえばいいのに、なんて)
しかたないなあ。まあ、万が一そんな事態になっちゃったらさ、
「僕が、待っててあげるよ」
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思わず引き留めてみたけど、行かせない理由なんて思いつけない忍野さん。
ルートXの彼は、勿論信じて送り出しただろうけど、言葉に出来ない勘みたいなもので、これが最後だと感じ取っていたかもしれない。
「――分かってる。出来るだけ早く見つけないとまずいんだろ、忍が」
そう言って駆け出す背中を引き留める言葉を、僕はもう持っていなかった。
ああ――本当にきみは分かっていない。まずいのは、今本当に瀬戸際にあるのは、きみの、きみ自身の命だというのに。
そんな風に自分を勘定に入れられない、出来損ないみたいなこの子供は、果たして僕が想定したとおりに事を運べるだろうか。明日の朝にでも再び、ここに顔を出してくれるだろうか――勿論、その頃には僕は居ないけれど。
目を閉じて追っていた靴音が、やがて聞こえなくなる。
「早く帰って来るんだよ、阿良々木くん」
きみの帰りを待つ人たちの元へ、ちゃんと帰って来るんだよ。
――でもそうだな、どうしようもないきみなんか、誰もが愛想を尽かしてそっぽを向くかもしれないなあ。
そんな、望むべくもない未来なんてものを想像して、自分へと苦笑を零した。(そうなってしまえばいいのに、なんて)
しかたないなあ。まあ、万が一そんな事態になっちゃったらさ、
「僕が、待っててあげるよ」
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