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小ネタ、感想、語り等置き場。現在は化物語(腐気味)中心です。☆『終物語(下)』までネタバレ有りです☆
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してるので、下げますー。
よろしければ、続きからどうぞ!







この廃墟は、本当に静かだ。

住宅街から離れている事を差し引いても、この音の無さはちょっと異常だと思う。
忍野が張ったという、結界――そんな漫画か小説みたいなものがあるなんて、俄かには信じ難いものがあったけれど――が、少なからず影響しているのだろうが、静かすぎて、

「や・・・お、と・・・やだ・・・っ」

その指が触れる場所からの水音のようなものまでが、机の軋む音に混じって耳に届いて、しまって――。

「――じゃあ、我慢しないで声出せばいいんじゃない?」
耳元に、少し笑みを含んだような声が返った。

向き合って膝を跨ぐようにして首に縋り付いている格好だから、忍野の表情は見えない。
どうせニヤニヤしているんだろうと思うと腹が立つが、この腕を解いたら膝立ちの格好を維持出来ないし、何より自分の顔を見られるのも嫌だから、仕方ない。
そう、仕方ないから、こうしているん、だから、
「・・・ぅあっ!」
「集中、しなさい?」
一瞬意識を他所へ向けただけだというのに、中を指でかき回された。こいつは・・・っ!
「っ、だって、もう、何回・・・っ」

(何回、この体勢でいかされてると思ってんだ!)
という所までは、残念ながら声にならなかった。
「だって、ほら。まだ挿れるの無理だよ」
残念ながら。
「っ~~!」
2本入っている指を広げられて、息が詰まった。
ああそれは仰る通りかもしれないけどな! 残念と言いつつ、ちょっと楽しそうなのは何でだ!
やり場の無い悔しさを、せめて首に回した腕に込めてやる。
「ちょ、阿良々木くん締まる、締まるって」
忍野の声は、焦った振りをしてもあくまで余裕げで、分かっていたけど更に悔しくさせられてしまった。
慣らすから、という理由で、もうだいぶ長い事、こうして後ろを弄られているように思う。
僕の反応を探るのが異様に上手い長い指に、後ろだけで、何度も何度も。
・・・何度も達してしまう位、気持ちが良いのは確かだけれど、いい加減こちらの羞恥も限界なのだ。
僕の出したものが飛び散った互いの腹だとか、それが後ろまで垂れて卑猥な音を立てている事だとか。

――忍野が挿れてくれさえすれば、二人して夢中になれるのに。
早く欲しいのも本当だし、それに、結局忍野に我慢させているのが、同じ男としてはちょっと、かなり、申し訳ない気も、するし。

「おしの、な、もう、いいから・・・だいじょぶ、だから・・・」
だから僕は、息も絶え絶えにそう告げる。
だから、もう挿れていいから、と。
「駄目」
「だ、って、お前だって」
「怪我、しちゃうよ?」
宥めるような優しい声にも、頷く事は出来なくて。
だって忍野、そんな風に気遣われるのは、嬉しいけど嬉しくないんだ。
いつもいつも護られて、先回りして気遣われて。
まるで一方通行で。
「いい、ってば!」
僕がお前に出来る事や、譲れる事が、何も無いみたいで。

「どうせ、僕は怪我したってすぐに治るんだから!」
「――」
途切れる前に言い切ろうと一気に口に出したら、忍野の動きが止まった。
「だから、そんなにしてくれなくても――」
「阿良々木くん」
互いの胸の間に、冷えた空気が滑り込んできた。
忍野が、僕の腰を抱いて支えていた腕を緩めて体を離し、目を合わせてきたのだ。そして、
「こら」
こつん、と頭を小突かれた。
「え・・・――」
反射的に、何だよと続けようとした声を、呑んだ。
口調や行動とは裏腹に、忍野がえらく怖い目で僕を睨んでいたからだ。
「もう一遍、言ってご覧」
「え、忍野・・・?」
僕は忍野の肩に手をかけたまま、逸らす事も出来ずにその目を見返す。
そして、静かに冷えた、何処か悲しげな眼差しに、いつか出会ったばかりの頃を思い出した。

『こら』

あの時もそう言って、忍野は僕に同じ事をしたのだ。
僕が、忍の――いや、あの頃はまだ、キスショットの――誠実を、信じなかった時に。
忍野が本当に本気で、浅はかな僕を嗜めようとした時に。

「ああ、全く・・・」
軽く息を乱したまま何も言えないでいる僕に、忍野が大きく溜息を吐いた。
「・・・どうせ治るから、痛い思いをしてもいいって思ってるのかい?」
「そ、れは」
そう、なんだけど。
僕を覗き込む忍野の目には、そう答えさせない無言の圧力があった。
「そんな風に僕が思うと、思うのかい?」
「それは、違う」
即答。
そんな事を忍野が思う訳が無い。
軽薄そうに無責任そうに振舞うこの男が、こういう時にどれ程誠実になるのか、僕は嫌と言う程知っている。
そう、思う訳が無いのだ。

「・・・ごめん」
俯いて、忍野の肩に額をつけた。
全然痛くなかった筈なのに、忍野に小突かれた所が、ずきずき痛むようだった。
「ほんっとに、阿良々木くんは馬鹿だなあ」
優しい声だった。
「・・・うん」
本当に、馬鹿だと思った。声が少し掠れくらい、馬鹿だと思った。
「そうだよー」
忍野の大きな手の平が、背中を撫でてくれる。
体を少し離して促されて、ゆっくりと顔を上げれば、打って変わって穏やかな目に行き会った。
「また、好きだって何度も言わないと駄目?」
僕は笑って、黙って首を振る。
「忍野。――好きだ」
お前のそういう優しい所が。
本当に、胸が痛む程。
「うん」
それから?
と、今度はいつものニヤニヤ笑いに切り替えて聞いてくるから、
「・・・やさしくして」
多分、お望み通りの言葉を。

「――仰せのままに」
ニヤリと笑う顔が格好いいだなんて、僕も大概だと思うけれど。
「じゃあほら、掴まって腰上げてー」
「ラジオ体操っぽいな・・・」
「次は3本ね」
「ひあっ・・・!」
大概だと、思うけれど!

「阿良々木くん、分かってると思うけど――」
「「容赦」」
しないからね、と、しないんだろ、が重なった。
はっはー、分かって来たじゃんと楽しげな忍野。

こうして結局ループしていく。想いも、痛みも快感も。
僕がしてやれる事が無いとしても、お前が僕を欲しがってくれると言うなら、全部、持って行ってくれ。
流石にそれは口に出せないまま、目の前の唇に自分のを押し当てた。





ついったで、「阿良々木くんはえむだしすぐに傷も治るから便利だね!」ってな話をしていまして(い、いつもそんな話をしているわけでは!)。
でも、忍野はそういう風に思わないよね、阿良々木くんがそんな事(えむは言わないよ! つーか奴は己のマゾ性に無自覚)言ったら怒るよね、と素敵な流れになったので、許可を頂いてメモ書きしてみました。
ありがとうKさん! 私のネタの泉の精・・・!
ついったでお仲間とお喋りしてると、なーんかネタが湧くんですよね、素敵ですよね!(内容はともかく)

で。
阿良々木くんを怒る時、傷物語でしたように「こら」だったら更に萌えって話なんすよ!(机をバンバン)
何あれ・・・男子高校生にするアクションか・・・?
い、いや、きっと私の目は腐って曇っているから、自然な動作も不自然に写ってしまうのかな!
うん、きっと普通ですよね、30代男性が、高校生( 男 子 )を嗜めるときに、

  「こら」
  こつん、と。
  軽く頭を小突かれた。(引用)

うん、ふつ・・・う・・・か・・・な・・・?

・・・あ、今、恐ろしい事に思い当たったんですけどー!(テンション高えな!)
今まで私、軽く握った拳で、こつんだと思っていましたが・・・拳とは書いてないな!

・・・指、だったら・・・どうする・・・?(ゴクリ)

そんな馬鹿な!
それじゃまるで、馬鹿ップルじゃないか! まさか!



ちなみにこの後、

「何もしてやれないなんてとんでもないよ、阿良々木くん」
「嫌な予感がする・・・」
「色々あるだろう、口でするとか上に乗って自分で動くとか無茶な体位に挑戦する事に喜んで同意とか」
「やっぱりな! やっぱり台無しだったな!」
分かってたよ馬鹿! 忍野のバーカ!

みたいな流れになるんですよね、きっと。
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この廃墟は、本当に静かだ。

住宅街から離れている事を差し引いても、この音の無さはちょっと異常だと思う。
忍野が張ったという、結界――そんな漫画か小説みたいなものがあるなんて、俄かには信じ難いものがあったけれど――が、少なからず影響しているのだろうが、静かすぎて、

「や・・・お、と・・・やだ・・・っ」

その指が触れる場所からの水音のようなものまでが、机の軋む音に混じって耳に届いて、しまって――。

「――じゃあ、我慢しないで声出せばいいんじゃない?」
耳元に、少し笑みを含んだような声が返った。

向き合って膝を跨ぐようにして首に縋り付いている格好だから、忍野の表情は見えない。
どうせニヤニヤしているんだろうと思うと腹が立つが、この腕を解いたら膝立ちの格好を維持出来ないし、何より自分の顔を見られるのも嫌だから、仕方ない。
そう、仕方ないから、こうしているん、だから、
「・・・ぅあっ!」
「集中、しなさい?」
一瞬意識を他所へ向けただけだというのに、中を指でかき回された。こいつは・・・っ!
「っ、だって、もう、何回・・・っ」

(何回、この体勢でいかされてると思ってんだ!)
という所までは、残念ながら声にならなかった。
「だって、ほら。まだ挿れるの無理だよ」
残念ながら。
「っ~~!」
2本入っている指を広げられて、息が詰まった。
ああそれは仰る通りかもしれないけどな! 残念と言いつつ、ちょっと楽しそうなのは何でだ!
やり場の無い悔しさを、せめて首に回した腕に込めてやる。
「ちょ、阿良々木くん締まる、締まるって」
忍野の声は、焦った振りをしてもあくまで余裕げで、分かっていたけど更に悔しくさせられてしまった。
慣らすから、という理由で、もうだいぶ長い事、こうして後ろを弄られているように思う。
僕の反応を探るのが異様に上手い長い指に、後ろだけで、何度も何度も。
・・・何度も達してしまう位、気持ちが良いのは確かだけれど、いい加減こちらの羞恥も限界なのだ。
僕の出したものが飛び散った互いの腹だとか、それが後ろまで垂れて卑猥な音を立てている事だとか。

――忍野が挿れてくれさえすれば、二人して夢中になれるのに。
早く欲しいのも本当だし、それに、結局忍野に我慢させているのが、同じ男としてはちょっと、かなり、申し訳ない気も、するし。

「おしの、な、もう、いいから・・・だいじょぶ、だから・・・」
だから僕は、息も絶え絶えにそう告げる。
だから、もう挿れていいから、と。
「駄目」
「だ、って、お前だって」
「怪我、しちゃうよ?」
宥めるような優しい声にも、頷く事は出来なくて。
だって忍野、そんな風に気遣われるのは、嬉しいけど嬉しくないんだ。
いつもいつも護られて、先回りして気遣われて。
まるで一方通行で。
「いい、ってば!」
僕がお前に出来る事や、譲れる事が、何も無いみたいで。

「どうせ、僕は怪我したってすぐに治るんだから!」
「――」
途切れる前に言い切ろうと一気に口に出したら、忍野の動きが止まった。
「だから、そんなにしてくれなくても――」
「阿良々木くん」
互いの胸の間に、冷えた空気が滑り込んできた。
忍野が、僕の腰を抱いて支えていた腕を緩めて体を離し、目を合わせてきたのだ。そして、
「こら」
こつん、と頭を小突かれた。
「え・・・――」
反射的に、何だよと続けようとした声を、呑んだ。
口調や行動とは裏腹に、忍野がえらく怖い目で僕を睨んでいたからだ。
「もう一遍、言ってご覧」
「え、忍野・・・?」
僕は忍野の肩に手をかけたまま、逸らす事も出来ずにその目を見返す。
そして、静かに冷えた、何処か悲しげな眼差しに、いつか出会ったばかりの頃を思い出した。

『こら』

あの時もそう言って、忍野は僕に同じ事をしたのだ。
僕が、忍の――いや、あの頃はまだ、キスショットの――誠実を、信じなかった時に。
忍野が本当に本気で、浅はかな僕を嗜めようとした時に。

「ああ、全く・・・」
軽く息を乱したまま何も言えないでいる僕に、忍野が大きく溜息を吐いた。
「・・・どうせ治るから、痛い思いをしてもいいって思ってるのかい?」
「そ、れは」
そう、なんだけど。
僕を覗き込む忍野の目には、そう答えさせない無言の圧力があった。
「そんな風に僕が思うと、思うのかい?」
「それは、違う」
即答。
そんな事を忍野が思う訳が無い。
軽薄そうに無責任そうに振舞うこの男が、こういう時にどれ程誠実になるのか、僕は嫌と言う程知っている。
そう、思う訳が無いのだ。

「・・・ごめん」
俯いて、忍野の肩に額をつけた。
全然痛くなかった筈なのに、忍野に小突かれた所が、ずきずき痛むようだった。
「ほんっとに、阿良々木くんは馬鹿だなあ」
優しい声だった。
「・・・うん」
本当に、馬鹿だと思った。声が少し掠れくらい、馬鹿だと思った。
「そうだよー」
忍野の大きな手の平が、背中を撫でてくれる。
体を少し離して促されて、ゆっくりと顔を上げれば、打って変わって穏やかな目に行き会った。
「また、好きだって何度も言わないと駄目?」
僕は笑って、黙って首を振る。
「忍野。――好きだ」
お前のそういう優しい所が。
本当に、胸が痛む程。
「うん」
それから?
と、今度はいつものニヤニヤ笑いに切り替えて聞いてくるから、
「・・・やさしくして」
多分、お望み通りの言葉を。

「――仰せのままに」
ニヤリと笑う顔が格好いいだなんて、僕も大概だと思うけれど。
「じゃあほら、掴まって腰上げてー」
「ラジオ体操っぽいな・・・」
「次は3本ね」
「ひあっ・・・!」
大概だと、思うけれど!

「阿良々木くん、分かってると思うけど――」
「「容赦」」
しないからね、と、しないんだろ、が重なった。
はっはー、分かって来たじゃんと楽しげな忍野。

こうして結局ループしていく。想いも、痛みも快感も。
僕がしてやれる事が無いとしても、お前が僕を欲しがってくれると言うなら、全部、持って行ってくれ。
流石にそれは口に出せないまま、目の前の唇に自分のを押し当てた。





ついったで、「阿良々木くんはえむだしすぐに傷も治るから便利だね!」ってな話をしていまして(い、いつもそんな話をしているわけでは!)。
でも、忍野はそういう風に思わないよね、阿良々木くんがそんな事(えむは言わないよ! つーか奴は己のマゾ性に無自覚)言ったら怒るよね、と素敵な流れになったので、許可を頂いてメモ書きしてみました。
ありがとうKさん! 私のネタの泉の精・・・!
ついったでお仲間とお喋りしてると、なーんかネタが湧くんですよね、素敵ですよね!(内容はともかく)

で。
阿良々木くんを怒る時、傷物語でしたように「こら」だったら更に萌えって話なんすよ!(机をバンバン)
何あれ・・・男子高校生にするアクションか・・・?
い、いや、きっと私の目は腐って曇っているから、自然な動作も不自然に写ってしまうのかな!
うん、きっと普通ですよね、30代男性が、高校生( 男 子 )を嗜めるときに、

  「こら」
  こつん、と。
  軽く頭を小突かれた。(引用)

うん、ふつ・・・う・・・か・・・な・・・?

・・・あ、今、恐ろしい事に思い当たったんですけどー!(テンション高えな!)
今まで私、軽く握った拳で、こつんだと思っていましたが・・・拳とは書いてないな!

・・・指、だったら・・・どうする・・・?(ゴクリ)

そんな馬鹿な!
それじゃまるで、馬鹿ップルじゃないか! まさか!



ちなみにこの後、

「何もしてやれないなんてとんでもないよ、阿良々木くん」
「嫌な予感がする・・・」
「色々あるだろう、口でするとか上に乗って自分で動くとか無茶な体位に挑戦する事に喜んで同意とか」
「やっぱりな! やっぱり台無しだったな!」
分かってたよ馬鹿! 忍野のバーカ!

みたいな流れになるんですよね、きっと。
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