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――誓うよ。
君を害する全てのものから守ってあげる。
暴力からも、悪意からも、絶望からも、誘惑からも、
そして勿論、僕の欲望からも。
その為に君がどんなに傷ついたとしても、決して汚れる事のないように――
暦が大事すぎて、両想いって分かっているのに決して触れようとしない忍野さん。
実際、ナイトみたいだしなあ・・・と、妄想しておりました。
で、冒頭のような事をついったで呟いておりましたら、素晴らしき頂き物をしました・・・っ!
大好きなメメラギサイト、HEAVENWORDの桐島カンナ様より、騎士の忍野さんと、姫(?)の暦の、小さなおとぎばなしを、一つ。
いざ、パラレルワールドへ。
「なあ忍野。お前のその残酷な忠誠がたとえ僕を殺すのだとしても、お前は僕に触れてさえくれないんだな。」
「うん・・・ごめんね。僕はきみの---騎士だから。」
自分の心に決して応えずに、それでも愛よりももっと深い眼差しで、跪いたまま見上げて来る最愛の男へ暦は悲しげに微笑んだ。
暦は、明日には他の男のものになる。
それは意に添わぬ事だったが、暦に拒む力は無かった。
ならばせめてその前に、生涯で唯ひとり愛した男にたった一度抱き締めて欲しいと願った。
けれど。
願いを頑なに、それ処か触れる事さえを拒んだ男は、暦に剣を捧げてくれた暦だけの騎士だった。
「うん・・・ごめんね。僕はきみの---騎士だから。」
自分の心に決して応えずに、それでも愛よりももっと深い眼差しで、跪いたまま見上げて来る最愛の男へ暦は悲しげに微笑んだ。
暦は、明日には他の男のものになる。
それは意に添わぬ事だったが、暦に拒む力は無かった。
ならばせめてその前に、生涯で唯ひとり愛した男にたった一度抱き締めて欲しいと願った。
けれど。
願いを頑なに、それ処か触れる事さえを拒んだ男は、暦に剣を捧げてくれた暦だけの騎士だった。
「忍野。僕に忠誠を誓うと云うのなら、口付けを。」
暦はゆっくりと、その白い手を差し伸べる。
縋る目をして、泣き出しそうな笑顔で。
それでも。
「・・・・御意。なんてね。」
ゆっくりと進み出た忍野は、その求めて震える指先に触れてはくれず、床に長く曳いた黒衣の裾を、ゆっくりと取って口付けた。
「・・・・お前は本当に徹底してるんだな。」
「自分を戒めているんだよ、阿良々木くん。」
「・・・・そっか。」
小さく呟いて、暦は静かに瞳を閉じた。きつく唇を噛み締めて。
「なあ、忍野。」
「何だい?」
「すまないが、そこのグラスを取ってくれ。」
忍野は暦の示したサイドテーブルの上を見た。
そこには美しい細工のデキャンタの横に、一杯だけ透明な赤い飲み物の注ぎ分けられたグラスがあった。
「それを飲んだら、もう休むから。」
「・・・・・・。」
忍野はすっと立ち上がってそのグラスを取り、暦に手渡した。
「ありがとう。」
暦はグラスを受け取るふりをして、頑なに触れる事を拒む男の手にそっと触れる。
「卑怯だね、阿良々木くん。」
「はは・・・ごめんな。でも、最後だから。」
淡く笑って、忍野の手に微かに触れた指先を胸に抱く。
そして暦は、忍野がくれたグラスの中の致死性の毒をあおった。
たった一口で十分だった。
毒は暦の身体を廻る。
暦はグラスを傾け、残りの液体を床に撒いた。
誰も、自分を追わないように。
姉妹も、友人も---そして最後まで自分に触れる事を拒んだ最愛の男さえも、これから自分の往く煉獄へ来れないように。
「さよなら、忍野。」
暦の瞳から、堰を切ったように涙が溢れた。
お前に触れて欲しかった。
もっとシンプルで直載な愛で、出来るなら縛りつけて欲しかった。
願わくばお前をこの手で捕まえて、抱き締めてキスしたかった。
暦の柔らかな唇から、一筋の血が流れ落ちた。
「阿良々木くん?!」
お前がお前なりの愛し方を貫くと云うのなら、僕もまた、僕の愛を貫こう。
お前が僕に触れないのなら、僕もまた、お前以外に一指たりとて触れさせはしない。
ゆっくりと---まるでスローモーションのようにその柔らかな髪の残像を残し、暦は床へ崩れ落ちる。
「阿良々木くん!!」
それを抱き留めた忍野は色を失ってそのいとおしい名を叫んだ。
「ああ・・・忍野。」
夢に迄見た、夢でしか触れられなかった腕に抱かれながら、暦は胸元に血を吐いて、笑った。
「嬉しいよ、忍野。」
血塗れの指先が、そっと忍野の頬に触れ、そして力を失って冷たい床へと落ちた。
---やっと、お前を捕まえた。
「さよなら、忍野。」
暦の瞳から、堰を切ったように涙が溢れた。
お前に触れて欲しかった。
もっとシンプルで直載な愛で、出来るなら縛りつけて欲しかった。
願わくばお前をこの手で捕まえて、抱き締めてキスしたかった。
暦の柔らかな唇から、一筋の血が流れ落ちた。
「阿良々木くん?!」
お前がお前なりの愛し方を貫くと云うのなら、僕もまた、僕の愛を貫こう。
お前が僕に触れないのなら、僕もまた、お前以外に一指たりとて触れさせはしない。
ゆっくりと---まるでスローモーションのようにその柔らかな髪の残像を残し、暦は床へ崩れ落ちる。
「阿良々木くん!!」
それを抱き留めた忍野は色を失ってそのいとおしい名を叫んだ。
「ああ・・・忍野。」
夢に迄見た、夢でしか触れられなかった腕に抱かれながら、暦は胸元に血を吐いて、笑った。
「嬉しいよ、忍野。」
血塗れの指先が、そっと忍野の頬に触れ、そして力を失って冷たい床へと落ちた。
---やっと、お前を捕まえた。
いかがでしょうか・・・悲恋エンドきたこれです! ちょっ・・・美しい・・・!
元々は拍手コメントで頂いたのですが、これ、私だけしか見られないなんて勿体無い! そんな贅沢をしたら通風になっちゃいますから! と泣きついて、アップ許可を頂きました。
快諾に感謝! 本当にありがとうございます!
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