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小ネタ、感想、語り等置き場。現在は化物語(腐気味)中心です。☆『終物語(下)』までネタバレ有りです☆
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読了につき、とりとめないですが。
ネタバレよろしければ、つづきからどうぞです。




面白かったです。それにこのお話、とても好き。

私小説のようでもあり、全くのフィクション・ファンタジーのようにも思える、不思議な感覚でふわふわして、それが妙に心地よかった。

登場人物はたったの二人(生きてる人間に限って言えば)、行動範囲は基本数メートルという、おそろしく限定されたシチュエーションで、二人のコミュニケーションのみを描いていくというこのお話。
地味といえば地味な気もするのですが、しかし終始わくわくしていたような……。
合間合間にちらちら見え隠れする、西尾作品の欠片みたいなものを見つけるのが楽しかったのかも。
でも、まずは、というかこれだけ書き留めれば満足なのですが、好きな部分を。

最大のカタルシスは何といっても、『僕』が『U』にお話をしてあげるシーンでした。

ズルをして先にこのくだりを読んでしまっていた私でしたが、きちんと順番を守ってここに辿り着いたら、最初に流し読みをしたときとは全然違う気持ち――感動に直面して、少し、泣きそうになりました。
肉体的にも精神的にもぎゅうぎゅうに押し込められていた主人公が、初めて誰かのために必死で何かを伝えようとする、その瞬間の、迸るような勢い、物語が生まれ出ようとする力に、強く強く感動したのでした。

ほとんど私小説として読んでいましたが、このシーンに至る頃には、御伽噺みたいな夢の物語にも思えていたかも。
物語が迸る瞬間。お話の生まれる場所。それを誰かに手渡すという、夢。


それに、たった一人のズタボロに傷ついた女の子に、「大丈夫だよ」って言うためだけに紡がれていく数多のお話なんて、とてもロマンチックです。

決定的におかしくても、大事なものが足りないままでも、それでもきっと楽しくやっていけるよ、幸せになれる、大丈夫だよ。

10年間、ずっとこのことを発信し続けてきた『僕』の始まりがここだなんて、いい話だよね。皮肉でなく。
これを皮肉でなく祈るように、そうだと信じたがる自分がいて、あー、そういう部分で私はこの作家さんに惹かれているのね……と照れくさくなったりしました。

確かにこれは、今でないと意味を持つことのできないお話なのかも。
このタイミングでこのお話が読めてよかった。またお話を「たくさん聞かせてくださいね」


*


で、欠片というか、既視感を覚える部分がね、楽しいよねっていう。
西尾作品は戯言とその外伝、りすか、刀、そして化物語くらいかな、読んでるのは。
全部網羅してるかたにはもっと沢山気付くことがあったんだろうなと思うと、ちょっと羨ましいな。

感情の欠落した大学生の男の子とか、女の子の首とそれを抱く人とか、ネグレクト・虐待の果てにモンスターに育った女の子と、それを忌み嫌う両親とか、とかとか。
何となく思い当たるものを見つけて、ふふと思う楽しさ。

これ、今までの著作がまずありきで、そこに至るように一から生み出されたお話だったりしたら……なんて逆回転の想像をしてみるのも楽しかったです。


*


「お話」をしてあげるお話って好きです。観用少女の「空を飛ぶ夢」とか。
小さい頃から寝物語をしてもらうのが(寝なくてもしてもらうのが)好きだったので、余計あのシーンが好きなのかもしれない。
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面白かったです。それにこのお話、とても好き。

私小説のようでもあり、全くのフィクション・ファンタジーのようにも思える、不思議な感覚でふわふわして、それが妙に心地よかった。

登場人物はたったの二人(生きてる人間に限って言えば)、行動範囲は基本数メートルという、おそろしく限定されたシチュエーションで、二人のコミュニケーションのみを描いていくというこのお話。
地味といえば地味な気もするのですが、しかし終始わくわくしていたような……。
合間合間にちらちら見え隠れする、西尾作品の欠片みたいなものを見つけるのが楽しかったのかも。
でも、まずは、というかこれだけ書き留めれば満足なのですが、好きな部分を。

最大のカタルシスは何といっても、『僕』が『U』にお話をしてあげるシーンでした。

ズルをして先にこのくだりを読んでしまっていた私でしたが、きちんと順番を守ってここに辿り着いたら、最初に流し読みをしたときとは全然違う気持ち――感動に直面して、少し、泣きそうになりました。
肉体的にも精神的にもぎゅうぎゅうに押し込められていた主人公が、初めて誰かのために必死で何かを伝えようとする、その瞬間の、迸るような勢い、物語が生まれ出ようとする力に、強く強く感動したのでした。

ほとんど私小説として読んでいましたが、このシーンに至る頃には、御伽噺みたいな夢の物語にも思えていたかも。
物語が迸る瞬間。お話の生まれる場所。それを誰かに手渡すという、夢。


それに、たった一人のズタボロに傷ついた女の子に、「大丈夫だよ」って言うためだけに紡がれていく数多のお話なんて、とてもロマンチックです。

決定的におかしくても、大事なものが足りないままでも、それでもきっと楽しくやっていけるよ、幸せになれる、大丈夫だよ。

10年間、ずっとこのことを発信し続けてきた『僕』の始まりがここだなんて、いい話だよね。皮肉でなく。
これを皮肉でなく祈るように、そうだと信じたがる自分がいて、あー、そういう部分で私はこの作家さんに惹かれているのね……と照れくさくなったりしました。

確かにこれは、今でないと意味を持つことのできないお話なのかも。
このタイミングでこのお話が読めてよかった。またお話を「たくさん聞かせてくださいね」


*


で、欠片というか、既視感を覚える部分がね、楽しいよねっていう。
西尾作品は戯言とその外伝、りすか、刀、そして化物語くらいかな、読んでるのは。
全部網羅してるかたにはもっと沢山気付くことがあったんだろうなと思うと、ちょっと羨ましいな。

感情の欠落した大学生の男の子とか、女の子の首とそれを抱く人とか、ネグレクト・虐待の果てにモンスターに育った女の子と、それを忌み嫌う両親とか、とかとか。
何となく思い当たるものを見つけて、ふふと思う楽しさ。

これ、今までの著作がまずありきで、そこに至るように一から生み出されたお話だったりしたら……なんて逆回転の想像をしてみるのも楽しかったです。


*


「お話」をしてあげるお話って好きです。観用少女の「空を飛ぶ夢」とか。
小さい頃から寝物語をしてもらうのが(寝なくてもしてもらうのが)好きだったので、余計あのシーンが好きなのかもしれない。
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