忍者ブログ
小ネタ、感想、語り等置き場。現在は化物語(腐気味)中心です。☆『終物語(下)』までネタバレ有りです☆
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。



「『今日も午後から局地的な豪雨』か・・・」

小さく息をついて携帯から顔を上げると、向かいに座る戦場ヶ原は、ノートに淀み無くペンを走らせる手を止めずに、
「七夕が快晴だったという記憶が、あまり無いわ。小さい頃は何度もがっかりさせられて、旧暦の関係で時期がずれているからだと知った時は、少し腹が立ったものよ」
「まあ、どうにもならない事だけどなあ」
昔の人が決めた暦だし。
その頃は毎年タイミングよく見事な天の川を拝めていたのだろうと思うと、ちょっと羨ましいけれど。

「そうね、仕方ないから誰かをいたぶって発散しようかしら」
「僕を真っ直ぐ見つめて言うな」
ふん、と再びノートに視線を落とす彼女は、無表情に見えてほんの少し残念そうだ。
多分、僕と一緒に星を見たかったとか、そんな事を思ってくれているのだろう。
・・・多分、きっと、ちょっとくらいは。

「――でも、いいじゃんか、七夕が雨でも晴れでも、どうでも」
「何よ、えらく軽い扱いをしてくれるわね、ろこすわよ」
「何そのスイーツっぽいのに剣呑な響き!」
じゃなくて。
「僕は別にいいんだよ、もう」
空の上がどうだろうと――

「――あー、やっぱりちょっといたぶっていいぞ、戦場ヶ原」
「阿良々木くんにしては殊勝な心がけだけれど・・・急に何故かしら」
「そうしたくなるような事を言うから、前払いだ」
「?」



君が僕の、輝ける星。



――――――――――




「――何を言い出すのかと思えば。阿良々木くん、余り無理をするものではないわ」

はっきりそう言った訳ではなかったけれど・・・今の僕にとっては戦場ヶ原が星いや勿論あくまでメタファーとしての表現ではあるもののそういったような存在であり、ですから別に今夜夜空の星が見られなくても差し支えないですよ? というような事をぼそぼそ告げた僕は、即座に死にたいほど恥ずかしくなり、熱くなった顔を出来るだけ背けていたのだが、一拍置いてから耳に届いた戦場ヶ原の声は、いつもの通り全く平坦で、むしろ軽く呆れるような色を含んでいるのだった。

「そんな、思いつきで恥ずかしい事を言ってみたものの、うわあこれはどう転んでも僕のキャラじゃないだろう何て事を言ってしまったんだいっそ今すぐ死にたい、みたいな顔をするくらいなら、軽々に口に出したりせずに、その度量の狭い胸に仕舞っておけばいいものを」
・・・分かってたけどね。こういう反応が返ってくるって。だから僕は今更がっかりしないさ。ああ全然しないとも。

「・・・悪かったな、キャラ違いで。でもだからといって、わざわざ僕の台詞で補足して追い詰めてくれなくても――」
って。
「だって見え透いているんですもの、阿良々木くんの顔ときたら」
「・・・戦場ヶ原」
「分かり易い事この上ないわ、浅薄で単純で――」
「おい、戦場ヶ原」
「まあ、恋人の誕生日にかこつけて柄にも無い台詞に挑戦するという蛮勇自体は、蚤の心臓と名高い(「名高くねえよ!」)阿良々木くんにしては、中々の――」
「センジョーガハラサマー」
「・・・カタカナ発音で私の発言を遮ろうだなんて、阿良々木くんはいつからそんなに偉くなったのかしら」
「ノート、破れてるぞ」
「――」

戦場ヶ原の白い手の下、あらぬ力でかき回されたらしきノートのページが、無残にもぐちゃぐちゃに波打っている。
「・・・」
動揺、したのだろうか。
「・・・言い掛かりはやめて頂戴」
「この期に及んでそれか・・・」

全く、僕の恋人ときたら。

「可愛すぎるぞ」
微かに、本当に微かに色づいた頬も。
僕の言葉に小さく震える長い睫毛も。

「・・・言い掛かりはやめて頂戴」
「言い掛かりかよ!」

萌えすぎて――蕩けそうだ。







昼休み携帯クオリティ。愛だけ込めた!
暦はあの星空デートの後、常にひたぎが可愛くて仕方ないだろうなー。



7/10、ちょっと加筆修正しました。
むしろこの後半を書きたかったのですよ!

あー、一応書いておくと、このNL暦と、メメラギのときのBL暦は別の子・・・です・・・。それぞれの次元で、本命一本の子です・・・。すいません本当・・・自由で・・・!(だっ)(逃げオチ多いなーこの管理人)
PR

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:
   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック